日本酒をなみなみに注ぐのはなぜ?その理由はお店側にあった?

2019/4/9に放送されたTBS系テレビ番組『この差って何ですか?』では外国人が気になる『差』を紹介。その中で外国人が不思議に思っていたことが日本酒を升にいれてなみなみに注ぐというもの。確かに日本酒の飲み方って他のお酒に比べて独特ですよね。

その理由はお店側とお客さんの間で生まれたものだというのです。

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日本酒をなみなみに注ぐのはなぜ?

日本酒の歴史を研究する日本酒アカデミー講師の上杉考久さんによると「日本酒をグラスからこぼすようになったのは、お店の心意気を表すためです。」と解説。

昭和初期の日本では庶民にとって日本酒はとても高価な飲み物でした。その為、居酒屋にくるお客さんは「ケチらないでもうちょっと入れてほしい」と店員に求めることも多々ありました。しかし、なみなみに注ぐと当然こぼれそうになります。そこでお客さんが升を受け皿にしてこぼれないようにしました。それが評判を呼びます。
やがて他のお店でも真似するようになりました。そこでお客さんが「あっちの店ではもうちょっと入ってた」と文句をつけるたびに、プラスで日本酒を注ぐようになっていきます。これが日本酒をなみなみではなく、升の中にこぼすようになったきっかけといわれています。

他のお店で競ってこぼすようになったことから日本酒をどれだけこぼすかがお店の心意気を表すバロメーターになったというこです。その名残が現在にも残っており日本酒は「なみなみ」に注ぐようになったのです。

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他のお酒の注ぎ方にも理由があった?


ワインはグラスにちょっとしか注がず、ビールはグラスになみなみに注ぎます。その理由はあるのでしょうか。

ワインショップソムリエセラーマイスターの江畑進一さんによると「ワインにちょっとしか注がない理由は、ワインは香りを楽しむ飲み物であるためです。」と解説されています。
ワインはグラスの空間にたまった香りを楽しむものなので、なみなみに注ぐと香りが溜まらず外に逃げてしまうため、ちょっとしか注がないといいます。

また、(社)日本ビアジャーナリスト協会代表の藤原ヒロユキさんは「ビールをなみなみに注ぐ理由は1698年にイギリスでなみなみに注がないといけないという法律ができたためです。」と解説。

当時イギリスではビールを販売するときに店員がわざと泡を多く入れてビールの量をごまかしていた不正に設ける事件が横行しました。そのため、メモリのあるグラスを使って販売し、メモリより上に液体を入れなければいけないという法律ができました。メモリの入ったグラスは現在もヨーロッパで使われています。

日本ではそのような法律はありませんが、江戸時代後期に日本にビールが伝来した際にそのなみなみに注ぐ習慣も一緒に伝来したため、現在日本でもビールはなみなみに注ぐようになりました。

まとめ

いかがでしたか。日本酒を升にいれて飲む方法はもっと昔からの習わしだったり神様へお供えする際に伝統的な習慣があったのかと思いきや意外にも居酒屋のお客さんと店員の間で作られたものでした。飲み文化の中から生まれてきたとは驚きです。「商売を繁盛させるために行っていたことが文化になっていく」という様はとても趣があって面白いものです。

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